アーツカウンシルさいたまでは、今年度の「アーティスト・イン・レジデンスさいたま」における滞在アーティストとして、造形教育ユニットの図美好場(ズビズバ) と 北村侑紀佳(きたむら ゆきか)氏 の2組を選定しました。
本事業では、アーティストが約2週間に亘ってさいたま市内に滞在し、創作活動や地域交流を通じて新たな表現を育むことを目的としています。また、創作の現場を市民にひらき、作品が生まれるプロセスそのものを共有することで、地域に根ざした新しい文化芸術活動の芽を育みます。
今回の滞在制作の拠点となるのは、さいたま市南区にある GAFU -gallery & space-。この施設は、大正5年(1916年)創業のフナオカキャンバスが昭和8年に建てた元キャンバス工場をリノベーションしたスペースで、現在はギャラリーやレンタルスペースなど、地域にひらかれた場として活用されています。かつて画布(油絵に使用するキャンバス)を生み出していた空間が、今回のアーティスト・イン・レジデンスでは創作と交流の拠点として新たな歴史を刻んでいきます。
選定されたアーティストのうち、図美好場は、図工・美術教育に携わる教員や研究者によるグループです。「造形を介した交流の場」をテーマに、地域の人々とともに制作を行う巨大ブックアートの公開制作やワークショップを実施します。また、北村侑紀佳氏は歩行と絵画を結び合わせたプロジェクト「衛星都市の点つなぎ」を展開し、都市と身体の関係を可視化する表現を探ります。
各アーティストによる公開制作や展示会のスケジュールなどについては順次お知らせいたします。今後の続報にご期待ください。
滞在アーティスト
図美好場(ずびずば)
レジデンス期間:2025年12月2日(火)〜12月15日(月)
図美好場は図工・美術教育の教員や学生による研究実践チームです。教育とアートの垣根を越え、落書き・製本などの造形ワークショップや、襖6枚分の巨大ブックアートを公開制作します。
“図工美術好きの場”をテーマに、学校の外で市民と造形を介した交流を育む2週間です。
代表:大島伸夫(図美好場)

埼玉大学教育学部美術専修卒業。造形教育ワークショップアーティストとして数々の実践を経験してきた。公立小学校、中学校での教職経験を20年間積んでいる。数ある実践の中で、製本の授業については、うらわ美術館と連携し10年間、中学3年生に実践した経歴がある。また、公募展「第51回東京展」では、奨励賞を授賞するなど、造本作家としての実績がある。
谷川潤(図美好場)

埼玉大学大学院修士課程教育学研究科美術分野修了。
現在は東京学芸大学大学院博士課程連合学校教育学研究科芸術系教育講座に所属する学生でありながら、東京都をはじめとした自治体が主催する市民ワークショップや文藝春秋が主催する「高校生直木賞」などの企業企画にてグラフィックレコーディングの実践者としての経験を重ねている。
また、2019年より埼玉大学教育学部附属小学校にて図画工作科非常勤講師を7年間、2022年より浦和大学にて非常勤講師を4年間担当しており、自身の研究領域である「ビジュアル言語学(描画を言語と相似した学習構造があるものとして捉える学問領域)」の知見を引用した「ビジュアル言語ドリル」を用いて描画学習の多面的理解を促している。
北村侑紀佳(きたむら ゆきか)
レジデンス期間:2026年1月13日(火)〜1月26日(月)
「衛星都市の点つなぎ」と題して、浦和駅から東京駅までを歩行し、都市の“中心と周縁”をつなぐ記録をもとに絵画を制作します。また、歩行・写真・絵画・冊子を組み合わせながら、都市と身体の関係を再構築する展示を行います。

北村侑紀佳(きたむら ゆきか)
2000年 滋賀県生まれ。2023年 成安造形大学 芸術学部 卒業、2025年 嵯峨美術大学 大学院修了。
絵画は古くから窓と喩えられてきた。その窓は身体と、触れることのできない世界(イメージ)との間に生じる距離を示している。描くこととはその隔たりに手を伸ばし、見ることと触れることの間を往還する運動なのではないか。近年、私は「歩くこと」をその延長として考えている。身体が窓を乗り越え現実の世界に触れるとき、絵画のイメージはそこにはない。それでも、私の身体の中に、世界は入り込んでくるのである。
| 滞在場所 |
GAFU -gallery & space- アクセス |
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