木力館を開設した背景は?
木力館は日本でも珍しい木を専門とする博物館。ポプラの丸太を大黒柱にした86坪の天然木建築の館で、伝統的な工法で建築されている。木がふんだんに使われ、本物の木が生み出す香りと温もりにあふれている。
半世紀を木材とともに過ごした館長は、日本における森林崩壊や林業の衰退、健康に好ましくない住宅の増加などの問題の根っこに、人々が木や自然素材のすばらしさを余りにも知らない、知る機会が少ないということに気付き、木や自然素材、森林や環境問題について情報を発信し、木を実際に体験できる場が必要だと考えた。
五感で体感することの大切さ
木についての知識を提供する館内では、実物の木片を実際に見て、触って、香りをかいで特徴を知ることができる。
「言葉や文章だけでは、本当に理解してもらうことはできません。学びだけでなく、五感で感じて、特に“木の香り”を体感して貰うことが大切なのです。五感は忘れない、木の香りが体の記憶として残るのです。」
館長は、特にこどもの学びの場を大切に考えている。環境はこどもの将来にとってとても大切なこと。そして、大人も含めて木を知り、木の良さをリアルに体感できる場として、木力館が存在している。
精力的な活動
岩槻の開智学園では、17年間毎年、小学4年生を対象に木の授業を行い、実際に製材の体験を通して“木の香り”を体感する機会を創っている。
また、さいたま市、越谷市、春日部市の公立・認可保育園305箇所に、館長が手作りした埼玉県産桧の積み木を寄贈している。なぜ積み木を寄贈するのだろうか?
「地元県産の木の魅力と森林の必要性などに関心持ってほしいのです。豊かな森林によって美味しい空気、水などがいただけるありがたみを感じてほしいと思います。」
地道な活動と環境問題への取り組みの貢献に対して、それぞれの市から感謝状が贈られている。
地域との繋がり
木力館の開放的な二階スペースでコンサートを開催したり、木力館で夏祭りを企画し、小屋組みを組んで餅まきを行ったりと、地域での活動も盛んだ。また、地元岩槻での他のアート拠点との繋がりも今後期待されている。
「日本の木のことを多くの日本人に知ってもらいたい。生き物は自然に逆らって生きることはできません。人も同じく、自然と共生することが大切だと思うのです。自然は噓をつかない。これは私(おやじ)が体験した結論です。」
「多くの人に木力館を訪れていただき、木に触れて、木のことをもっと知ってほしいと思います。」
館長の挑戦は続く。
住所 |
さいたま市岩槻区新方須賀558-2 |
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電話番号 |
048-799-1560 |
木力館 館長 |
大槻 忠男 |
HP/SNS | |
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