オープンの経緯と名前の由来
しまず夫妻が2012年に自宅に併設してオープンした美術館。しまず氏は40代の頃に木彫彫刻家として認められ、日本各地や米国で個展を開いた。ある個展で長野県栄村の村長から「ぜひうちの村にきて制作してほしい。木材もアトリエも全部用意するから身ひとつで来てください」という誘いを受け、信州育ちのしまず氏はお役に立てるならと山深い村に移住して制作に没頭。作品を発表することもなく一心不乱に制作に打ち込むこと20年あまり。浦和に戻って来た時には発表の場が失われていた。膨大な作品をできるだけ大勢の人に観てもらいたいとの想いから、自宅を改装して美術館を開設する運びとなった。
モッキンと聞いてまず思い浮かべるのが木琴。しまず氏の詩に、「木琴の音が聞こえるよ」という一節があり、ここからとって名付けたとのこと。きつつきの音、風が通る梢の音、木を彫る音、まさにそうした森の音が聞こえてくるような美術館だ。
どんなところ
浦和駅からバスで10分ほどの住宅街に建っていて、アンティークのおしゃれなドアを挟んで左手が自宅、右手が美術館になっている。一階に入ると、部屋のいたるところに木の作品、木の自然な色を生かして創った大きな彫刻やレリーフなどがある。2階に通じる階段の壁には絵画や書が飾られている。2階にはびっくりするほど大きな木彫の動物や虫たちが置かれ、まるで不思議な夢の世界の森に迷い込んだような気持ちにさせられる。小品を動かしながら制作したアニメーションを見ることもできる。美術学校の知人からしまず氏の個性が失われるとの助言を受け、美術学校の教育は一切受けず個性を生かした作品の数々は、木彫にとどまらず絵画、詩、絵本、書など幅広いジャンルにその才能を発揮しており、この美術館でそれらの作品に触れることができる。
これから
初めは気難しい芸術家肌の方なのかと感じたしまず氏だが、話すうちにとても気さくでユーモアのある方だとわかった。パートナーで館長でもあるリコさんができるだけ多くの人々に作品を観てもらいたいと強く願っているのが伝わってくる。とても大きく重たい木彫作品が多いため個展を開くのもそう簡単ではなく、この美術館に来て観てもらうのが一番だという。ワークショップを開いたりしていろいろな試みをしているが、お二人の掛け合い漫才のようなユーモアあふれる会話をYouTubeで発信していこうという企画も立てている。
住所 |
さいたま市南区大谷口593 |
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電話番号 |
048-881-0524 |
館長 |
島津 リコ |
HP/SNS | |
アーツカウンシルさいたま 市民サポーター事業(2022年度) |