オープンのきっかけ、経緯は?

「みぬま福祉会」は1984年発足。1985年に法人化し「川口太陽の家」を開所。

発足当初から、障がいのある方々(仲間)とともに活動することを模索していた。働くことは人が生きる上で大切なことの一つ。お金をつくり、社会と繋がり、生き生きとした人間としての成長や発達につながること。当初はどちらかというと単純な軽作業が中心だったが、重度の知的障がいのある「あっこさん」が生き生きと絵を描く姿を見て、宮本さんが「アートを通して、あなたしかできない仕事をしてみよう」と、2002年に「工房集」を立ち上げた経緯を熱く語っていただいた。

どんな場所なの?

工房集は、見沼田んぼや畑などの緑豊かな風景に囲まれた開放的な敷地にある。どこか非日常的な雰囲気だが「ワクワク」するような外観だ。中に入ってみると、仲間たちが作業場についたり誰かと話していたりと、日常の時間が流れていた。アトリエ、ギャラリー、カフェスペースの3つのエリア。現在カフェスペースはギャラリー開催時のみ、後援会の協力のもと営業中。作品は建物の内外に展示されていてワクワクがたまらない。工房集のアトリエで創作しているアーティストは20人ほど。みぬま福祉会全体では、およそ150人の方が絵画、織物、木工、書、ステンドグラス、漫画、写真など多彩な創作活動を楽しんでいる。

アート活動と未来展望は?

作品は国内外の美術館(東京都美術館、埼玉県立近代美術館等)やギャラリーで展示され、海外のギャラリーと独占契約を結んでいる方もいる。工房集主催の個展のほか国内外で仲間たちの作品を知ってもらう展示機会を増やし、努力して作品を産み出している、ハンデを持って生まれた人の力強さも伝え続けていきたいことの一つ。企業の広報誌や公共ポスターにも採用されている。2016年には埼玉県障害者芸術文化活動支援センター「アートセンター集」を立ち上げ、芸術文化活動を通して人と人がつながり、障がいがあっても豊かな人生を過ごせる社会を目指して前進している。

お話しを伺って

最後に、お話しをうかがって感銘を受けたことを記したい。

障がいのある方々を「仲間」と呼び、職員と利用者の関係でなく同時代を共に生きる仲間と捉えていること。そして、知的障がい者の美的感覚は持って生まれた才能と見られがちだが、宮本さんは「コツコツ努力しているんです。一人一人が自分の作風をつかんでいる。」というお話しされていたこと。私たちと同じように努力し、自分にとっての最高の作品を届けることを根っこに持って活動していることを知った。どんな人もアートを通して個性を表現しているんだということをどんどん発信していきたい、という思いが伝わってきた。

住所

川口市木曽呂1445(緑区隣接の市境、東浦和駅徒歩14分)

電話番号

048-290-7355

取材対応

宮本 恵美

HP/SNS

アーツカウンシルさいたま 市民サポーター事業(2022年度)